世の中に魅力的な人はたくさんいるのだから
どれだけ素敵な人だとはいえ
たった一人そのひとだけをずっと見て
一生愛し続けることは難しい
心浮つくこともある
だけど昔のように衝動のまま壊すことは
したくない してはいけない
努力が必要なのだ
本能のコントロール
満ち足りた時間には思い出しもしないくせして、

ほんの少し空虚を知った瞬間に強く求めるとは、

なんてエゴイスティックな人だろう。

もう、10年も前のことなのに。

静かに

2010年9月26日 エッセイ
干した洗濯の揺れるを見ると えもいわれぬ気分になる何か

Brand-new days

2010年7月29日 エッセイ
昼は
太陽の光があって
外の音もあって
考えない

夜は
相手が寝静まった頃
こうしてあの人を
考える

会ってくれないけど
会ってはいけないけど
律儀に返事をくれるから
そっとメールを
ずっと眺める

新しい家
素敵な部屋
不足ない生活
それでも私は
昨日、わたしは“運命のわかれ道”について 考えていた

ステレオから流れてきた「月夜の散歩」という曲を聴いた瞬間

あふれた涙

思わず卒業アルバムを取り出して 彼の顔を見つめる

クラス写真、部活写真、文化祭、体育大会での写真・・・あどけない表情

アルバムをしまって 新聞を広げる

今の彼の言葉・・・なんて立派なんだろう

世界が違う 生活が違う

―感傷終了

「今の状態でも、十分幸せじゃないか」と自分へ呟く

寝しな 新聞での発言を頭の中で反芻した

          ****

今日、わたしは 未来の広さについて考えている

新しい挑戦への発想はとめどない

彼とは別の道を歩く

けれど彼と同じぐらい 誇れる道を歩こうじゃないか

泣いたり 笑ったり、のこの頃

多分、マリッジブルー

告白

2010年7月13日 エッセイ
どうしても陥落させたい人に、

言葉を尽くして饒舌にいくか、

厳選して言葉少なにいくか、

どちらが効果的なのかを、

時間と精神力をかけて、じっくり吟味する。

それは、手管ではなくて誠意。


人類平等なんてうそで、人間関係には序列があって、

限りある命を、誰でも彼にでも注げるわけではない。

真実大切な人だから、

より傷つかないように説得したい。

女ともだち

2010年7月6日 エッセイ
久しぶりに、中学時代の女ともだちと会って、飲んだ。

学生時代の友人と会えば、記憶のまま時空を自在にたゆたうことができる。

彼女と知り合った14歳から現在に至るまで約15年ほどの年月を共有し、
積もる話はその月日をいったりきたり。

そんな中で、彼女が「いつ」との前振りもなく唐突、
「モモコが○○湖に連れていかれたことがあったよね、」
と言い出した。


…いつ、誰と、どうやって? いろんな疑問接頭語が脳内にうずまき、
それからふと符号が合う記憶が蘇り、「あっ」と私は声を上げた。

それは、23歳のときのこと。
彼女の知人の紹介で、ある男の子と知り合った。
なんとなくボーイフレンドの一人として付き合っていた、2度目のデートで
行き先を告げない彼の車で遠くまでドライブをし、
私は某有名な湖へ連れていかれた。


彼女は、そのことを言っていたのだ。
今でこそ、年齢相応の警戒心を身につけた私だけれど、
その頃は、とりあえず相手の身元がはっきりしてさえいれば、
どこへでもついていっていた。


   * * * * * * * * * * * * * *


夜の湖には、静かな波の音がして、しばらく無言の散歩。
彼がやけに無口になってしまったので、
私もなんだか喋りづらくなって、黙っていた。
岩だらけでおぼつかないサンダルの足取りを心配した彼が、私の手を取って、
それで、私たちは、初めて手をつないだ。

「あの岸に見える灯り、僕の家なんだ。」

彼の実家は、そのあたりでは有名な旧家で、
湖の対岸でさえ灯りが見えるほどの、家、というより、屋敷だった。

私は、下宿住まいの大学生であるということしか知らなかったので、
“お坊ちゃん”だということに驚いたが、同時に、
彼のやわらかくも少し内気な物腰について、納得した。

その後、月明かりの下で抱き寄せられて、唇を重ねた。
育ちのいい人のぎこちないキスは、勢いがよすぎて歯が当たった。



これから恋人になる女の子に、自分の故郷を見せたいと思ったのだろうか。
その子との初めてのキスは、自分の親しんだ湖のそばがいいと思ったのだろうか。

でも、ロマンチストの彼は、リアリストの私には、物足らなかった。
その頃の私は、純情で経験不足な男より、少し擦れた手だれのほうが好きだった。
多分、私と彼では、あまりに“育ち”が違ったのだ。



   * * * * * * * * * * * * * *


女ともだちのその一言から、当時のことをぼんやり思い出していると、
彼女が、
「あの彼、今、○○病院で外科医やってるんだって」と言った。

一介の医学生だった彼も、今や、立派な医師になってるだなんて、
感慨深い気分になった。
きっと、育ちのいいお嬢さんと交際しているか、結婚してるんだろうなぁ。


   * * * * * * * * * * * * * *


子犬みたいな目をして「来週から2週間、教授について○○で学会があるから、
帰ってきたらまた会おうね」と言ってくれたけど、
あの頃の私は、2週間なんて、とても待てる時間じゃなかった。

手に入らぬ人をもう2年も待っている今の私には、考えられないことだけど、
これもまた、月日なのだろう。
人はいくらでも変わる。


女ともだちは、私のそんな胸中を知らずに、次の話題へ移っていった。

黒子

2010年6月26日 ポエム
足の指の間

腰のくびれの部分

以前なかった黒子を発見すると

またひとつ 汚れた気がする

夢のあなた

2010年4月17日 エッセイ
どうしてだか
今朝の夢で鮮明にあなたが現れて
驚いて目が覚めた


------------

行ったこともない長野のペンション風の宿泊施設の
キッチンに私はいて
勝手口の網戸の向こうから「やあ」と声をかけたのは
4年前に完全に離れてしまったあなただった

あの頃と変わらない
少し長めの茶色の髪と
くすんだ朱色のライダースジャケット
はにかむような笑顔

驚きと喜びで
私は手で口を覆ったまま声も出ない

すると下のほうから声が聞こえて
目線を遣ると
地面に小さな女の子が座っていた
彼の娘らしい

「あぁ…」と内心思い
しかし表情と声色は平静を装って
子どもに向かって話しかけ

気づくと彼はその場からいなくなっていて
女の子と私ふたりきり

さりげなく「お母さんの名前は?」
と尋ねると、子どもにありがちな微笑みで
体をくねらせて何も言わないので

別れた後は、完全に潔癖な友人同士として
付き合っていた私とあなたの間を
むりやり引き裂いた あの女の名前を言ってみたら
幼女はコクリと頷いた

「わたしのこと 難産だったんだよ
 下にあと2人 いもうとがいるよ」

聞いてもいないのに 女の子は
とつぜん饒舌になって話しだしたので
私は立ち上がって、すぐそばの駐車場のほうへ向かい
車に荷物を出し入れしていた彼に
「それじゃあね」と声をかけて、施設の玄関から中へ入った。

するとちょうどロビーに私の恋人がいたので、
「お風呂(温泉)でも入ろっか」と
作り笑いで、腕を組んだ。

------------


…という夢だった。


あなたのことはもう
風の便りでさえ届かなくなったけれど
今朝の夢はきっと
当たらずとも遠からずなのでしょう

心のどこかでは
あの女と別れていたらいいのに…と思ってもいるけど
きっと、そんなはずはない


あなたが私への想いをとうに忘れ果て
あなたの家庭で現実を生きていても
私はあなたへの想いを生涯忘れはしない


学生の頃は
あなたとの未来を現実として思い描いていたのに
あなたも私と築く家庭の詳細について語っていたのに
なぜか
お互いが同じことを考えていても叶わない
運命のいたずら



別に、待ち続けたわけではないし
別に、今でも愛しているというわけでもないけれど
はっきりいって、普段は忘れてさえいるぐらいだけど。
そんな心でも、一生引きずりそうだ。
こうして時折夢に見て。


この気持ちは誰にも告げず
抱えたまま
私も もうすぐ結婚する。
あの頃の私たちは、とても若くて、未熟で、お互い不器用だった。


今の私なら、うまくやれるよ。


貴方の視線から、逃げて走り出したりしない。


だけど、同じように、


今の貴方だって、うまくなっているんだよね。



もう、思い詰めた瞳で凝視することもない。



だから、お互い、

何事もなかったかのように、

ただかつてのクラスメイトとして


「今日の天気」と同じぐらい、どうでもいい、何の問題もない話題で話すだけ。



妻がいる貴方、
婚約者がいる私。
繋がりは級友というだけで、
はたから見れば、健全なふたり。

そんな恋愛

2009年6月29日 エッセイ
誰にも知られず
本人にすら悟られず
墓場まで持っていく

そんな恋愛があったっていいじゃないか

歳を重ねるごとに
現実という泥に全身が浸かっていく

家を建ててしまえば
逃げ場がないと観念する

不満がなくても
愛情に包まれて
幸せであるにも関わらず
不安や後悔は消えることがない
貪欲な人間だから

別の人生について夢想する
30年近く生きてきても
まだ恋に恋ができるのだと識る

実際に触れてしまえば
言葉を紡いでしまえば
飽きてしまうこと
満たされないこと
そんなことも解っている

想いが成就すればいいことでないことも

現実の道では現実的に幸せになる

想像の世界ではあえて踏み出さない


貴方への気持ちは
二十歳の頃から
何度も溢れそうになっては
その都度、呑み込み続けてきた

何時、伝えられるだろう

私に恋人がいたり
貴方に恋人がいたり
私が他の人に想いを寄せたり
貴方は他の娘への想いを語ったり
すれ違いの切なさも今は懐かしく

生涯、告げないことで
ある意味、貴方への恋に決別する

生涯、告げないことで
ある意味、私の想いは成就する

だって、そうすれば恋は恋のまま
壊れることがない

そういう形の恋愛もある

私は、現実の片隅でそっと愛でる

そんな恋愛を

Art

2009年5月14日 エッセイ
文化は人類にとって必要なものだけど。

人にとって、日々の生活のうるおいになるのだけど。

文化的な趣味は、お金を消費しても、増やすことはない。



私は、文芸小説しか読まない。

あのひとは、ビジネスや経済の実用書しか読まない。

私が費やした時間は、金儲けや貯金に役立たない。

彼が費やした時間は、確実にmake moneyに結びつく。



史上最高峰の芸術家・ダヴィンチだって、

有閑貴族の保護が、つまりパトロンが無かったらあのような

数々の芸術作品は生み出せなかったんだから。

と、彼は笑う。


金の上に成り立つのが芸術。


金喰い虫の芸術!



不況のとき、企業が一番に削るのは、文化振興費である。

非常事態のとき、芸術は不要になるのよね。

と、私は俯く。


余裕の上に成り立つのが芸術。

非常時下には、厄介者に!



ただ目先を生き抜いていくだけで必死になるので、

絵画では腹は膨らまぬので、

アタマの中の世界を表現して生きるなんて不謹慎なので、

寒ければ、国宝級の絵画だって紙切れと化して、たき火にするのが人間なので

(芸術を守るために凍死するのは小説の登場人物だけだ)、

芸術は、不要になるんだ。



心に余裕がなければ、誰も見向きもしなくなる芸術。

心に余裕があっても、見向きもしない人もいる芸術。



芸術に生きる人は、ある意味、社会に適応できていない人なのかもしれない。

生活のための仕事があって、その余暇ではなく、

それそのものを目的として生活したいと願い、そのために仕事し、三度の飯より愛することは、

リアリストから見れば、夢みすぎている。



でも、それでも、

合理主義者から見て道楽者の烙印を押されたとしても、

あのひとと私の決定的な溝が埋まらなくても、

どうしようもない。


物心ついた頃から愛してしまっている。

「芸術」という名のあなたを。

Sweet & Sweet

2009年3月24日 エッセイ
つまり私はひととき

現実から逃げようとしたのだ。

過ぎ去った時代に夢を重ねて

帰らない日々に憧れた。

決して手に入らないことも分かっていながら

どこかで淡い期待をかけ

勝手に彼に私の後半生を託してしまっていた。

そのことを、今日、客観的に知った。

17歳のときに夢中になっていた音を、数年ぶりに聴いて悟った。





Sweet&Sweet 苦い人生も
Sweet&Sweet 今宵甘くスイート
Sweet&Sweet イヤな世の中も
Sweet&Sweet 今宵甘くスイート
12年間、ずっと恋焦がれてきた人と、明日会える。



生の顔

生の声

生の笑顔



想像するだけで卒倒しそうな幸福!


どんな服を着ていけばいいだろう。

どんな会話をすればいいのだろう。



知人に聞いたら笑われるけれど、

そんなことでここ最近思案してきた。

まるで、初デートに舞い上がる10代の娘のように。



会いたい人に、会える。

私の人生があとどれだけ残っているか知らないが、

ともかく私の人生のクライマックスであることは、確実だ。



明日は、きっと、一生、忘れられない日になる。

啓示

2009年2月1日 エッセイ
「お前は幸せになるな」

と、

天の声が言う。


「これまで多くの人を傷つけてきたお前には、
 愛し、愛される資格などない」

と、神が、

鬼の顔をして、


地上に光臨し、


玄関の扉を開けたら立っていた。


妻という名を騙って。
たくさんの男が通り過ぎていった

だけど、この手に残るものは何もない

すべてを洗い流す激しい雨の夜

今この大地を踏みしめる足だって

いずれ溶けゆき 過去の女になる

10 years

2009年1月27日 エッセイ
10年では まだ足らないか

記憶も 感情も 遠い昔のこととして

朧よりも 霞よりも さらに淡く

感傷も 感動も 打算も 懸念もなく

何もかも 忘れてしまうのに

10年では
お互い、図々しくない程度に餌を撒いて、

お互い、欲しい餌だけをついばむ。

食べてもOK、吐いてもOK、どちらを選択しても、気まずくないような言葉の選択。

社交辞令の羅列の中に、うっすら本音も散りばめて、

いかにも社会人的な交際だ。


でも、約束が成立してしまえば、なぜか空虚。

そして次第に、会う日が面倒になってくる。

つまり、約束を取り付けるまでのやりとりが、楽しいのだ。


その一方で、当日のコーディネートを頭の中でシミュレーションする自分もいる。

でも、まだ下着のことまで考えない。

まるで20代前半の頃の自分のように、身軽な心を取り戻せるだろうか。


野暮な恋愛に傷つき、疲れた。

スマートな恋愛ごっこで癒されたい。


子犬のように潤んだ瞳を持つ、彼の餌は美味しいのだろうか。

素顔を捨てる

2008年12月14日 エッセイ
仕事をする人間が、プライベートの素顔を持つことは何ら問題ない。
いわゆる、オンとオフの使い分け、というもの。

なのに、
夫または妻である人間が、ひとりの男または女としての一面を、
父または母である人間が、ひとりの男または女としての一面を、
持っていることは、問題なのだ。

人は、結婚すればオスまたはメスとしての一面を葬り去らなければならない、らしい。

恋愛という、人間の純粋な欲望を。

図星

2008年12月3日 エッセイ
思い出と今の感情をごっちゃにするのはやめようよ。

ケンちゃんにとって、私は二十歳の時の日々なの。

だから私にこんなに固執するのよ。

(林真理子『私のこと、好きだった?』)

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