『君はハートのクィーンだよ』

 ぽっけに石鹸一個入れ
 軽石手拭頚に下げ
 君のほそい影踏めば
 おふろあがりのさむい径
 街ではどかどかチンドン屋
 年末特別大バーゲン
 僕らのお城は長屋裏

 石炭ストーブない夜は
 ラヂオで大雪注意報
 君と僕とで静かに聴けば
 まるで大英帝国の

 僕は勲功し王子様
 君は麗わし王女様

 君のおつとめ喫茶店
 今夜も帰りは終電車
 駅までおむかえ雪の径
 マフラと駆けっこ白い雪
 ジングルジャングル街あかり
 繭玉お飾り歳の市
 僕らのお城も除夜の鐘

 窓べで粉雪おにごっこ
 僕らのお雑煮たべたそう
 よい年来てねとそっと祈れば
 そうさ(明日は)大英帝国の

 僕は勲功し王子様
 君は麗わし王女様

(作詞作曲・あがた森魚/1972)

あたしは、70年代の学生エレジーがとても好き。

70年代前半のいわゆる“四畳半フォーク”の代表的アーティストといえばかぐや姫で、73年の『神田川』が有名だけど、あたしは、その1年前に出たあがた森魚の『君はハートのクィーンだよ』のほうが好み。

というより、ある種、理想かもしれない。

あたしが生まれるよりもずっとずっと昔の物語。
風呂無し木造アパートでの同棲。
そこに集う仲間たち。
フォーク・ギターをかき鳴らし
身近な情緒 切なさ、悲しみ、幸せ そして
将来の夢や理想や恋を輪になって熱く歌い上げる…

フォーク・ギターが醸す、連帯と陶酔と憧憬。

それは、30年経った現在でも尚、色褪せない甘美な魅力を放ち、あたしを惹きつける。

今の学生は、風呂有り(トイレ別)8畳鉄筋マンション(ベランダ付)に暮らすのが当たり前。
こういう、清貧はとても美しく羨ましく映る。

実際に、
“石炭ストーブない夜はラヂオで大雪注意報”じゃ
寒がりのあたしにはとても無理そうだけれど、

例え貧乏でも、
夢を持って、夢を追って、
好きな人と共に語らい 暮らす。

究極の愛の形だわ。

例えオトナたちから、「社会を知らぬ若造たちのオママゴト」だと嘲られたとしても。

あなたとふたり 貧乏ぐらし
お金は無いけど 愛に溢れてる
夢のようね

そう
あたしは、長屋裏の城の
ハートのクィーンになりたいの

貴方 あたしの
クローバーのキングになってくれる?

・・・エアコンの効いた広い部屋じゃわからない。

・・・車やバイクばかりじゃなくてたまには歩こうよ。

「あなた 現代に麻痺してるわよ?」

そう言ったら 貴方は笑うかしら。

「なんだモモコ急に。
 またいつもの気まぐれか?」って。

ううん。
今回ばかりは気まぐれじゃないの。
もう 高校生の頃からず―っと 憧れてる形。

理想は あなたと二人 夢を追って貧乏ぐらし。

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