拝啓 策略家 様

2003年2月25日
ネオンの光る街と甘い誘惑
ジャズが実しやかに流れている
「マティーニを。」
イイ女ぶる酒場で生まれる恋愛ゲーム
女なら一つ 花を咲かせましょう

刹那に溺れてああ美しい
大輪の人工花たちもすでに走馬燈
目前を霞んで流れてゆく

賞味期限は切れて時節は移り
狂乱の夜にうつつを抜かした時期はすでに遺物
周囲の者共は既に新しい途を決定し
残された寿命を全うすべく感傷に耽っている

生き急ぐ様子は非常に愚かしく映る
未だ一人で右往左往して焦る如月
時計だけが非情に刻々と駆ける
「カレンダーをめくりたくないのに!」
秒針が進むたびに恐怖が誇大して迫る

強がりは虚構に過ぎず
10本の赤い爪が剥げていく
真実はただ傍らに横たわっていて
突如意味もなく発作を起こすだけ

ああ この堕落ぶりよ
栄光など過去のもので
転落の人生には最早
勲章など一つも無い

恐くはない いや 怖い
矛盾に眠れぬ夜が脅かす
煙草と酒に耽り闇に堕ちていく
可笑しい程 崩壊は簡単
再生はすでに不可能
技術が 金が 気力が足らぬ

「我唯 最高級のケダモノ」
後先知らぬ 形振り構わず
未だに刹那の快楽を追う懐古主義者
これはただの逃避と判っている

過去は何故 未来の邪魔をする
「お前が悪いんだ。お前のせいだ。全て。」
もはや意識は錯乱している
その笑みが疎ましい
だから消し去りたい

消しゴムと修正液が足らない
甘美な恍惚に包まれて唯
脳内幻想に漂いながら果てたいだけなのに…
「さあ抱いて」

歓声に包まれて夢の空間
現実逃避は更に現実を突き付けた
水族館のイルカがとても哀れで涙を誘った
束縛の無い大海で泳ぎたいだろうに
理想郷はいつでも強制的に奪われる
人とて同様

「こうして終焉のはざまで単に苦悩している事態は滑稽です。
しかしこの過程がまた重要に思われるのです。」
それもまた綺麗事

憑き物でもいるのではないか
どうして皆そんなに切羽詰って取り上げる
上気した頬は ただ矛盾を呈して
下腹部に言い知れぬ鈍痛を催させるだけ
そんなもの 気持ち良くもない

目が眩んで 無様な道程が見えるが
それでも宜しいと申されるのなら
どうぞ 貰い受けて戴きたい
「いいえ 愛しています。」

口だけが一丁前
「もう 貴方しかいないのです。お願いよ。」
こうしてまた媚は塗り重ねられる
同情もまた 強靭なる武器
私も一人の弱い女なのです
悟ってくださいませ

計算ずくの弱音と おぼつかぬ強気

貴方に見破れるとは思いません

かしこ

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