たまには恋の話
2007年7月2日最近の日記を読み返すと、自分の精神状態が今
いかに殺伐としているかがわかる。
林真理子女史(昔は嫌いだったのに)の小説の中でも
“都会キャリアウーマン”系の(とでもいおうか?)ジャンルに
属する「ワンス・ア・イヤー」「コスメティック」をこの数日に続けて読み、
ますます精神は殺伐としてくるのである。
林氏の小説は、何と女の心を渇かすのが巧いか。
そう、あまりに容赦なくズバリと心臓の真ん中を射抜くので
矢に塗られた“虚しさ”という毒が心に広がり、染みいる。
…
さて、そんな折、
大学時代の友人(男性)からメールが入った。
他愛のない話が続いた後、“6年間付き合っている彼氏がいる女の子のことを好きになってしまった、どうしよう”というような内容の文章が、サラリと、まるで「今日は突然雨が降り出して困った」とでも書くようなそぶりで
非常にサラリと書かれてあったので、思わず動揺した。
彼のことは、今から7年ほど前、好きだった。
いわゆる、“片思い”というヤツだった。
が、一筋縄で行かないことに、当時、私には恋人がいた。
恋人がいながらも、数々の軽い恋もしていた“若気の至り”の
時代だった…のだが、彼にだけは、手が出せなかった。
「好き」だなんて、冗談でも、口に出せなかった。
彼が、あまりに純粋だったから。
彼のことがとても好きで、彼のことがとても大切で、
一生、付き合っていきたいと思った。
だから、ヘンな手出しはしないよう、我慢した。
欲望のまま行動していた、当時の私が、だ。
一線を越えてしまえば、いつかは別れるときがくる。
一時の気の迷いで、彼との関係を壊したくない。
“友だち”のままでいられれば、一生付き合っていける。
―そんなふうに、思った。
それから年月が経ち、私もすっかり丸くなった。
今では、家族のように過ごす恋人があり、
激しく燃え上がっていた情熱も、炭火のように穏やかな愛情へと変わり、
恋愛への渇望は、この穏やかさによって徐々に昇華されていった。
物心ついた頃から、自分の人生の中で、お勉強より何より最も一大事だった“恋愛”への執着を失うと同時に、女としていかに仕事を一流にこなすか、ポジションを上げていくか、そんなことにばかり神経が過敏になり、
林真理子氏の小説を読んでは、同調してますますイライラし、
思考回路は攻撃的になり、野心だけが膨らんでいった。
そんな近ごろの日々の中で、
彼からのメールは、ふっと私の肩の力を抜かせたのだった。
…ああ。
私のことを良き女友だちだと信じこんでいる、この友人へ、
唯一といってもいい、かつて“何もなかった”この男友達へ、
私は、一体、どんなアドバイスを返信しようか。すべきか。
当時の私ならば、彼への気持ちをひた隠しにしながら
「好きなら奪っちゃえ♪」とメールしただろう。
当時の私がその立場であれば、迷わずそうした。
今なら…「遠くから見守るだけの愛だってあるよね」
なんて、昔の私なら偽善的!と罵るような台詞すら
自然に頭に湧いてくる。
…のだが、しかし、さて、一体、何と返事をしようか。
たまには、淡く切ない気持ちになったって、罪はない筈だ。
いかに殺伐としているかがわかる。
林真理子女史(昔は嫌いだったのに)の小説の中でも
“都会キャリアウーマン”系の(とでもいおうか?)ジャンルに
属する「ワンス・ア・イヤー」「コスメティック」をこの数日に続けて読み、
ますます精神は殺伐としてくるのである。
林氏の小説は、何と女の心を渇かすのが巧いか。
そう、あまりに容赦なくズバリと心臓の真ん中を射抜くので
矢に塗られた“虚しさ”という毒が心に広がり、染みいる。
…
さて、そんな折、
大学時代の友人(男性)からメールが入った。
他愛のない話が続いた後、“6年間付き合っている彼氏がいる女の子のことを好きになってしまった、どうしよう”というような内容の文章が、サラリと、まるで「今日は突然雨が降り出して困った」とでも書くようなそぶりで
非常にサラリと書かれてあったので、思わず動揺した。
彼のことは、今から7年ほど前、好きだった。
いわゆる、“片思い”というヤツだった。
が、一筋縄で行かないことに、当時、私には恋人がいた。
恋人がいながらも、数々の軽い恋もしていた“若気の至り”の
時代だった…のだが、彼にだけは、手が出せなかった。
「好き」だなんて、冗談でも、口に出せなかった。
彼が、あまりに純粋だったから。
彼のことがとても好きで、彼のことがとても大切で、
一生、付き合っていきたいと思った。
だから、ヘンな手出しはしないよう、我慢した。
欲望のまま行動していた、当時の私が、だ。
一線を越えてしまえば、いつかは別れるときがくる。
一時の気の迷いで、彼との関係を壊したくない。
“友だち”のままでいられれば、一生付き合っていける。
―そんなふうに、思った。
それから年月が経ち、私もすっかり丸くなった。
今では、家族のように過ごす恋人があり、
激しく燃え上がっていた情熱も、炭火のように穏やかな愛情へと変わり、
恋愛への渇望は、この穏やかさによって徐々に昇華されていった。
物心ついた頃から、自分の人生の中で、お勉強より何より最も一大事だった“恋愛”への執着を失うと同時に、女としていかに仕事を一流にこなすか、ポジションを上げていくか、そんなことにばかり神経が過敏になり、
林真理子氏の小説を読んでは、同調してますますイライラし、
思考回路は攻撃的になり、野心だけが膨らんでいった。
そんな近ごろの日々の中で、
彼からのメールは、ふっと私の肩の力を抜かせたのだった。
…ああ。
私のことを良き女友だちだと信じこんでいる、この友人へ、
唯一といってもいい、かつて“何もなかった”この男友達へ、
私は、一体、どんなアドバイスを返信しようか。すべきか。
当時の私ならば、彼への気持ちをひた隠しにしながら
「好きなら奪っちゃえ♪」とメールしただろう。
当時の私がその立場であれば、迷わずそうした。
今なら…「遠くから見守るだけの愛だってあるよね」
なんて、昔の私なら偽善的!と罵るような台詞すら
自然に頭に湧いてくる。
…のだが、しかし、さて、一体、何と返事をしようか。
たまには、淡く切ない気持ちになったって、罪はない筈だ。
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