寂しい幸福

2007年11月27日
お絹ほど好きな女は、どこにも見当たらなかった。

もし事情が許せば、静かなこの町で隠逸な余生を楽しむ場合、

陽気でも陰気でもなく

意気でも野暮でもなく、

尚また、

若くも老けてもいない、

そして馬鹿でも高慢でもない代わりに、

そう悧巧でも愚図でもないような彼女と

同棲しうるときの寂しい幸福を

想像しないではいられなかった。

(徳田秋聲「挿話」より/大正14年)

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