恋猫

2008年4月17日
好き、とか嫌いとか、憎らしいとか、愛してるとか

喜怒哀楽 さまざまな感情をごった煮にして

身の内からふつふつと沸きあがらしてくれた人もすでに去り、

同じく桜も散り、

落ち着いた日々を過ごしている―と思う間もなく、

すでに目移りしている私は、恋をしやすい女だと一言で片付けてしまっていいのかどうか。我ながら悩む。


人事異動というのは、ある人が去って、別の人が入ってくる行事。

年下は懲り懲りと思っていた私の前に現われた、年上のあの人に、半月にしてすでに心奪われている。

…といっても、フロアは広いし、所属チームも別なので、絡んで仕事をすることはないし、席を立ったときに視界に入るぐらい。

そう、まるで中学生の妄想の恋のレベル。

日々、何かを思ったり、何かを知ったり、些細なことで喜んでみたり。
そんな段階。


―背が高いなぁ。180cm、あるのだろうか? とか、

―たまにかける眼鏡が知的! とか、

役職的に30代半ばかしら?と思っていたら、まだ30過ぎだった! とか、

勝手に既婚者だと思い込んでいた…ら、未婚だった(!!) とか。


そんなふうに半月を過ごしてきた今日、帰り際、エレベーターを降りたら、深夜の社員用通用口でバッタリと会った。

今までにない、1m圏内の至近距離で、互いの目が合う。

「お疲れ様です」と挨拶。向こうも「お疲れ様です」と返してくれて。

あぁ。ただの挨拶だけど、初めて言葉を交わした。

と感激する。

こういうことから、始まっていくのね。いろいろと、いろいろが。



―マンションで私を待つ恋人は、私のことを「猫みたい」と評する。

理由は、「わがままで勝手、でも可愛いから」なんて言ってくださる。が、

まさか、本当に猫のごとく、

外で別の人にえさをもらい、違う名で呼ばれ、

そして何知らぬ顔で飼い猫ヅラして家に帰ってきて眠っているなんて・・・・誰が言えよう。


少し前まで、そうやって可愛がってくれていた人はいなくなったので、
また新しい人にしっぽをすり付けようとしている恋猫は、
初めての挨拶の後、そのまま歩調を合わせて隣の位置をキープして地下鉄の駅まで行こうかと、
ふと思ったのだけれど、唐突に近づくのは今日はやめておこうと思い直した。

今日は、挨拶だけ。そのほうが、後々までひとつずつ楽しめる。

大きな背中を見つめながら歩く。

あのスーツの下に隠れている、裸の大きな背中に触れる日は、来るのかしら…

なんて妄想しているうちが一番楽しいこと、よく知ってる。





「恋猫」とは、春の季語。

なぜ春の季語かといえば、猫は春に発情するからだ。

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