Marriage Blue?
2008年8月4日相変わらず、あの高校球児が胸から離れない。
心が、遠くへ飛んでいってしまっている。
甲子園大会は開幕した。
週明けに私の地元の高校の第一試合がある。
今週末から夏季休暇だ。
久しぶりに地元に帰る。数年ぶり。
高校時代の仲間たちとの飲み会。
メンバーの中には、考えてみれば高校卒業以来
一度も会っていない人もいて驚く。
携帯電話のメールというのは恐ろしい。
何となく連絡が取り合えるので、
生身の人間とずっと会っていないことすら、気づかせない。
*
あの頃は、個人情報保護の概念など皆無だったので、
卒業アルバムには、自宅の住所と電話番号が書かれている。
同じ市内にある、私の実家と彼の実家。
…しかし、そんな手段が何になろう?
*
数年ぶりに地元へ帰るということは、何と高揚感をもたらすのだろうか。
自分が青かった頃に過ごした土地。
それは過ぎにし時代と、あまりに安易に直結する。
「郷里」という言葉と、
「高校時代」という言葉が呼び寄せるセンチメンタリズム。
もしかして、現実逃避なのだろうか。
かの球児のことばかり考えていることすらも。
*
今の恋人とは、気づけばもう3年の付き合いとなる。
考えてみれば、私の恋愛遍歴で過去最長。
そして、この春に、突然の求婚があった。
「結婚」
いつとも知れない、いつかの話ではなく、
具体的に提示された秋という季節。
なぜか、自分のこれまでの人生が終わる気がした。
新しい始まりではなく。
素直に喜べないのは何故だろう。
*
25歳を過ぎた頃から、学生時代の友人たちが徐々に結婚しだした。
しかし、友人の結婚式に出席しても他人事。
何の焦燥も羨望も感じなかった。
そして、今、その話が自分自身に舞い込んできたというのに、
予想していた何分の一もの感動も、喜びもない。
もしかしたら、感情の一部が欠落しているのかもしれない。
*
頷くこともせず、
話を逸らし、
仕事に打ち込み、
逃げてきたこの数ヶ月。
予定の秋を、なんとなく春先までずるずると引き延ばし、
必死に猶予を繕っていた。
突然忘れていた高校球児を思い出して切ない片恋気分に浸っているのだって、
そのための道具に過ぎない。
冷静にそう思う一方、
あの彼にもし、もうすでに妻がいたらと考えては絶望的な心持にも陥る。
ちぐはぐ。
*
逃げては、戻る。
今の恋人との関係が始まって、それ以外に何人の男性が過ぎていったか、指折る。
それでも、老いぼれるまで共に過ごす男は、
つまり、私の最後の「男」というのは、
多分、今の人なのだろう…と、ぼんやりと思っていたはずなのに。
その「最後」が確定的に見えてこれば、踏んぎりがつかない。
決め手が見つからない。
なぜか。
まだ現われる気がするのだ。
*
「運命の人」。
現実的に生きて尚、そんな甘い言葉をまだ信じようとしている。
それも、未来に出逢うのではなく、
もう過去に出逢っているのでは、と
昔の日々を洗い返している虚しい作業。
愚かしい。
現実の生活に、何の不満もないのに。
こういう心情が、Marriage Blueと呼ばれるちゃちな感情なのか?
ああ、くだらない。
*
過去の写真はだいぶ整理がついたが、心の整理が一向につかない。
左手の薬指には、心の波紋とは無関係に陽光を照り返して燦たるダイヤの輝き。
心が、遠くへ飛んでいってしまっている。
甲子園大会は開幕した。
週明けに私の地元の高校の第一試合がある。
今週末から夏季休暇だ。
久しぶりに地元に帰る。数年ぶり。
高校時代の仲間たちとの飲み会。
メンバーの中には、考えてみれば高校卒業以来
一度も会っていない人もいて驚く。
携帯電話のメールというのは恐ろしい。
何となく連絡が取り合えるので、
生身の人間とずっと会っていないことすら、気づかせない。
*
あの頃は、個人情報保護の概念など皆無だったので、
卒業アルバムには、自宅の住所と電話番号が書かれている。
同じ市内にある、私の実家と彼の実家。
…しかし、そんな手段が何になろう?
*
数年ぶりに地元へ帰るということは、何と高揚感をもたらすのだろうか。
自分が青かった頃に過ごした土地。
それは過ぎにし時代と、あまりに安易に直結する。
「郷里」という言葉と、
「高校時代」という言葉が呼び寄せるセンチメンタリズム。
もしかして、現実逃避なのだろうか。
かの球児のことばかり考えていることすらも。
*
今の恋人とは、気づけばもう3年の付き合いとなる。
考えてみれば、私の恋愛遍歴で過去最長。
そして、この春に、突然の求婚があった。
「結婚」
いつとも知れない、いつかの話ではなく、
具体的に提示された秋という季節。
なぜか、自分のこれまでの人生が終わる気がした。
新しい始まりではなく。
素直に喜べないのは何故だろう。
*
25歳を過ぎた頃から、学生時代の友人たちが徐々に結婚しだした。
しかし、友人の結婚式に出席しても他人事。
何の焦燥も羨望も感じなかった。
そして、今、その話が自分自身に舞い込んできたというのに、
予想していた何分の一もの感動も、喜びもない。
もしかしたら、感情の一部が欠落しているのかもしれない。
*
頷くこともせず、
話を逸らし、
仕事に打ち込み、
逃げてきたこの数ヶ月。
予定の秋を、なんとなく春先までずるずると引き延ばし、
必死に猶予を繕っていた。
突然忘れていた高校球児を思い出して切ない片恋気分に浸っているのだって、
そのための道具に過ぎない。
冷静にそう思う一方、
あの彼にもし、もうすでに妻がいたらと考えては絶望的な心持にも陥る。
ちぐはぐ。
*
逃げては、戻る。
今の恋人との関係が始まって、それ以外に何人の男性が過ぎていったか、指折る。
それでも、老いぼれるまで共に過ごす男は、
つまり、私の最後の「男」というのは、
多分、今の人なのだろう…と、ぼんやりと思っていたはずなのに。
その「最後」が確定的に見えてこれば、踏んぎりがつかない。
決め手が見つからない。
なぜか。
まだ現われる気がするのだ。
*
「運命の人」。
現実的に生きて尚、そんな甘い言葉をまだ信じようとしている。
それも、未来に出逢うのではなく、
もう過去に出逢っているのでは、と
昔の日々を洗い返している虚しい作業。
愚かしい。
現実の生活に、何の不満もないのに。
こういう心情が、Marriage Blueと呼ばれるちゃちな感情なのか?
ああ、くだらない。
*
過去の写真はだいぶ整理がついたが、心の整理が一向につかない。
左手の薬指には、心の波紋とは無関係に陽光を照り返して燦たるダイヤの輝き。
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