在りし日の雨

2008年10月15日 エッセイ
昔話はもういい。

追憶はもういらない。

私は、一刻も早く忘れたい。

携帯電話だって、抹消したし、

日々、いろいろな理由を考え並べては、

思い出さなかったことにしようと、努めているというのに。


そういうことが、泡になるような出現。


あなたの写真は、見尽くしていたはずだった。
まだ見返していない表情があった。
上目遣いのその瞳で、一体何を覗き込もうとしているの。


驚くべき、あなたの自宅。
周辺の家々の何倍もあるであろう、広い広い庭。
一体、あの大きな家で誰とどんなふうに暮らしているの。


そこで流れていたのは桑田圭佑の名曲
「萎えて女も意志をもて」

原由子ばりに歌うイリアの声が、哀愁を帯びて染みる。
歌謡曲みたいな恋愛だ。


奇しくも今夜は雨。

雨の日の匂いは、思い出したくないことまで思い出させる。

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