Art

2009年5月14日 エッセイ
文化は人類にとって必要なものだけど。

人にとって、日々の生活のうるおいになるのだけど。

文化的な趣味は、お金を消費しても、増やすことはない。



私は、文芸小説しか読まない。

あのひとは、ビジネスや経済の実用書しか読まない。

私が費やした時間は、金儲けや貯金に役立たない。

彼が費やした時間は、確実にmake moneyに結びつく。



史上最高峰の芸術家・ダヴィンチだって、

有閑貴族の保護が、つまりパトロンが無かったらあのような

数々の芸術作品は生み出せなかったんだから。

と、彼は笑う。


金の上に成り立つのが芸術。


金喰い虫の芸術!



不況のとき、企業が一番に削るのは、文化振興費である。

非常事態のとき、芸術は不要になるのよね。

と、私は俯く。


余裕の上に成り立つのが芸術。

非常時下には、厄介者に!



ただ目先を生き抜いていくだけで必死になるので、

絵画では腹は膨らまぬので、

アタマの中の世界を表現して生きるなんて不謹慎なので、

寒ければ、国宝級の絵画だって紙切れと化して、たき火にするのが人間なので

(芸術を守るために凍死するのは小説の登場人物だけだ)、

芸術は、不要になるんだ。



心に余裕がなければ、誰も見向きもしなくなる芸術。

心に余裕があっても、見向きもしない人もいる芸術。



芸術に生きる人は、ある意味、社会に適応できていない人なのかもしれない。

生活のための仕事があって、その余暇ではなく、

それそのものを目的として生活したいと願い、そのために仕事し、三度の飯より愛することは、

リアリストから見れば、夢みすぎている。



でも、それでも、

合理主義者から見て道楽者の烙印を押されたとしても、

あのひとと私の決定的な溝が埋まらなくても、

どうしようもない。


物心ついた頃から愛してしまっている。

「芸術」という名のあなたを。

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