Marriage Blue?

2008年8月4日
相変わらず、あの高校球児が胸から離れない。
心が、遠くへ飛んでいってしまっている。
甲子園大会は開幕した。
週明けに私の地元の高校の第一試合がある。
今週末から夏季休暇だ。
久しぶりに地元に帰る。数年ぶり。
高校時代の仲間たちとの飲み会。
メンバーの中には、考えてみれば高校卒業以来
一度も会っていない人もいて驚く。
携帯電話のメールというのは恐ろしい。
何となく連絡が取り合えるので、
生身の人間とずっと会っていないことすら、気づかせない。

     *

あの頃は、個人情報保護の概念など皆無だったので、
卒業アルバムには、自宅の住所と電話番号が書かれている。
同じ市内にある、私の実家と彼の実家。
…しかし、そんな手段が何になろう?

     *

数年ぶりに地元へ帰るということは、何と高揚感をもたらすのだろうか。
自分が青かった頃に過ごした土地。
それは過ぎにし時代と、あまりに安易に直結する。
「郷里」という言葉と、
「高校時代」という言葉が呼び寄せるセンチメンタリズム。
もしかして、現実逃避なのだろうか。
かの球児のことばかり考えていることすらも。

     *

今の恋人とは、気づけばもう3年の付き合いとなる。
考えてみれば、私の恋愛遍歴で過去最長。
そして、この春に、突然の求婚があった。
「結婚」
いつとも知れない、いつかの話ではなく、
具体的に提示された秋という季節。
なぜか、自分のこれまでの人生が終わる気がした。
新しい始まりではなく。
素直に喜べないのは何故だろう。

     *

25歳を過ぎた頃から、学生時代の友人たちが徐々に結婚しだした。
しかし、友人の結婚式に出席しても他人事。
何の焦燥も羨望も感じなかった。
そして、今、その話が自分自身に舞い込んできたというのに、
予想していた何分の一もの感動も、喜びもない。
もしかしたら、感情の一部が欠落しているのかもしれない。

     *
頷くこともせず、
話を逸らし、
仕事に打ち込み、
逃げてきたこの数ヶ月。
予定の秋を、なんとなく春先までずるずると引き延ばし、
必死に猶予を繕っていた。
突然忘れていた高校球児を思い出して切ない片恋気分に浸っているのだって、
そのための道具に過ぎない。
冷静にそう思う一方、
あの彼にもし、もうすでに妻がいたらと考えては絶望的な心持にも陥る。
ちぐはぐ。

     *

逃げては、戻る。
今の恋人との関係が始まって、それ以外に何人の男性が過ぎていったか、指折る。
それでも、老いぼれるまで共に過ごす男は、
つまり、私の最後の「男」というのは、
多分、今の人なのだろう…と、ぼんやりと思っていたはずなのに。
その「最後」が確定的に見えてこれば、踏んぎりがつかない。
決め手が見つからない。
なぜか。
まだ現われる気がするのだ。

     *

「運命の人」。
現実的に生きて尚、そんな甘い言葉をまだ信じようとしている。
それも、未来に出逢うのではなく、
もう過去に出逢っているのでは、と
昔の日々を洗い返している虚しい作業。
愚かしい。
現実の生活に、何の不満もないのに。
こういう心情が、Marriage Blueと呼ばれるちゃちな感情なのか?
ああ、くだらない。

     *
過去の写真はだいぶ整理がついたが、心の整理が一向につかない。
左手の薬指には、心の波紋とは無関係に陽光を照り返して燦たるダイヤの輝き。

夏の白球は永遠に

2008年7月28日
夏の甲子園大会予選が終わり、来週から甲子園球場で本大会が始まる。

高校野球など興味の外だけれど、今年は妙に胸が昂ぶっている。
永く忘れていた人のことを、不意に思い出してしまったから。

******

物心ついたときから文化系の私は、外で汗だくになって走り回る「スポーツ」という行為に何ら魅力を感じられない高校生だった。

私は冷房の効いた図書室で近代文学なんかを手に取っていて、彼は灼熱の陽が照りつけるグランドで白いボールを投げていた。
彼は野球部で、いわゆるエースピッチャーだった。

私たちはただクラスが同じというだけで、接点はまったくなかった。
彼が放課後にグラウンドで部の仲間たちと大声で叫びながらランニングやピッチングに精を出している頃、私は繁華街に繰り出して、友人や彼氏と当時大流行していたプリクラを撮るか、カラオケに興じるか、マックで油っぽいフライドポテトをつまみながら延々と無駄話をしているのだった。

そんな高校3年の夏。
我が校の野球部も当然、県の予選大会に出場し、野球部員がいるクラスは騒然と興奮した。
もちろん、私のクラスもである。

といっても、皆でまとまって応援に行くような仲の良いクラスではなかったので、それぞれの“仲良しグループ”で連れ立って球場へ行った。

私は…といえば、初めのうちは無関心を装っていた。
が、1回戦、2回戦と勝ち進んでいき、クラス全体のムードが団結して高揚してゆくにしたがって、その熱気を無視することができなくなってしまった。
それで、3回戦になって、ようやく重い腰を上げ、級友について球場へ向かった。

忘れられない、7月のその日。
吹奏楽部が演奏する「タッチ」や「ルパン三世」などのおなじみの野球音楽、応援団の野太い応援、そして学生たちの歓声。

その一種の陶酔にも似た雰囲気の中で、もはや興味のない振りなどできなくなった私は、いつしか友人たちと一緒になって、叫び、立ち上がり、笑い、はしゃいでいた。

そして、彼が打席に立った。
話もしたことのないクラスメイト。

教室では、同じ体育会系の部活に所属している連中とつるんで、下品な話題で騒いでいる彼のことを、私は、例えばサガンも太宰もボードレールも読んだことのないのだろう、食欲と性欲と野球しか頭にない、デリカシーのかけらもない奴、と内心でバカにしていた。

その彼は、それまで私が見たこともないような真剣な顔つきでバットを構え、まっすぐにピッチャーを見据えていた。
静かな闘志を湛えた瞳、強い意志で結ばれた口元…。

遠いスタンド席で、細かな表情など見えるはずがない。
それでも、私には彼の目が、口元が、眉間に寄ったシワが、はっきりと私の目前に迫って、確かに見えたのだった。

…そして、私は、私の彼への認識が間違っていたことに気づいた。

そう思ったのと同時に、彼に向かって白いものが豪速で突き進んできて、そして彼はそれに向かって勢いよくバットを振った。

青い空に、カーン、と、真夏の空気を割るような高らかな音が響き、ともなって、白球が空の高みへと向かっていった。

飛んでいったのではない、空へ駆け上がっていったのだ。
私には、そう見えた。

******

結局、その試合には負けた。
嘘のように教室の熱気は冷めていった。
数日前までのざわめきが嘘のように、皆そ知らぬ顔で机に向かって参考書を広げていたのだった。
有数の進学校の生徒として、それぞれがまた怜悧な表情で、半年後にやってくるセンター試験という人生最大の難関(それは、たかが18年間の人生だが)を迎え撃つための研鑽に粛々と戻っていった。

一時のゲームに興じ、ゲームオーバーになれば、それで終わり。
クラスメイトたちにとって、甲子園大会予選というのはそういう存在だった。
予選敗退は、本腰を入れた受験勉強へのスイッチのように。

だけど、彼にとっては違った。
簡単に切り替えられるゲームじゃない。

もちろん、彼も級友たちと一緒に受験勉強を始めたけれど、
あれで終わる夢ではなかった。

******

人の心なんて、本当にわからないものだ。

些末なきっかけで、恋心が芽生えることもあるらしい。

あれ以来、絶えず注がれる視線。

私は、無視した。

他に好きな人がいたし、そもそも彼はまったく私の好みではなかったので。

だから正直、そのあからさまな態度には、辟易とした。

今思えば、なんて純粋で、なんて不器用なのだろう。
彼も、私も。

******

先日、偶然テレビで甲子園大会を目指す球児たちを描いた映像を見たら、おのずと10年前の試合を思い出した。
そして、すっかり記憶の彼方へ去っていた彼のことも思い出したのだった。

懐かしくて卒業アルバムを開き、ほぼ10年ぶりに彼の顔に対面したら、失った青春という言葉が頭の中に溢れだした。
おかげで、夢にまで見た。
正直、彼が夢に出てくることなんて初めてだった。
恋人でもなければ好きでもなかった人だから、夢に出るわけもない。
それが夢に出てくるなんて…。

夢の中では、彼は野球でなくサッカーをしていた。

******

彼の消息は分からない。

彼が今も実家にいるのか、上京したのか、或いは他の街にいるのか、知る由もない。
私たちのクラスは仲が良くなかったので、同窓会もないのだ。

ほとんど朧になったクラスメイトたちの顔を思い浮かべてみる。
彼らは、郷愁や懐古の念を抱くような人間ではない。
過去よりも未来へ向かってただ進むだけの人間だ。
クラス同窓会を企画しようなんて心も、時間も、持ち合わせているはずがない。

******

しかし、知ろうと思えば、情報は手繰り寄せられてくるものらしい。
それからしばらく経って

奇跡的に、彼の消息を知った。

******

彼がいる地は、辺境の山間にあり、おそらく彼にとっても縁もゆかりもない「本当の田舎」だった。

私を含め、都会で慌しく日々に追われ、仕事に追われている元同級生たち。
高層のオフィスビルで流行の先端を扱う仕事は見栄えいいように思われがちだけれど、実体はただ大量の情報を使い捨てしているだけだ。
つい最近まで持て囃されていたはずのものが、簡単に捨てられる。そのスピードがあまりに速い。
やりがいもあるが、時折、虚しさも感じる。

夜、暮らしているマンションのカーテンを開ければ、眼下には煌く夜景が広がっているが、寒々とした人工的な光である。

それとは無縁に、彼は、進学校でもない田舎の高校で、素朴な生徒たちを相手に、緑濃く空広い世界で生きている。

夜は、夜景を見下ろすのではなく、星空を見上げるのだろう。

私たちがとうに忘れ去った「放課後」という概念も、彼の生きる世界では継続されていて、夕日が斜めに差し込むオレンジ色のグラウンドで、生徒たちとともに白球を追いかけている。。。

******

そう思ったら、どうしようもなく胸が昂ぶり始めた。

今になって「好き」だと感じても、どうしようもないのに。

10年前、卒業式の後に、彼は私を待ち伏せていた。
私は、知っていて、逃げた。

今思えば、幼い。
ただ想いを聞いてあげるだけの度量がなかった。

******

私の脳の中に残る、昔のままの姿のあなたに向かって、呟く。

「今なら、ちゃんと聞いてあげられるよ。」

「だけど、逆にあなたは、私のことなんて、
 私への想いがあったことなんて、
 とうの昔に忘れ果てているんだろうね。」

「恋人がいるかもしれないし、もしかしたら、もう結婚しているかもしれないね。」

******

それでもいい。

未だに、あなただけは、あの青春の日々を綴り続けている。

この夏の空の下で、白球を追いかけている。

それだけでいい。

その想像だけでいい。

そう、思った。

今ごろ彼を想うのは、つまり過去を想うことなのだ。

私にとって今の彼は、私の高校時代、すなわち過ぎにし青春そのもの。

記憶の中で、あの夏は永遠に続いていく。
コンビニですぐに売れてしまう「FEEL」(祥伝社の女性漫画雑誌)が、めずらしくずっと残っているので、もう「サプリ」を5回ぐらい立ち読んでいる(笑)

登場人物たちが皆しなやかに生きて、仕事をして、恋愛をしている感じがとても好き。作者のおかざき真理をさして好きというわけでもないのだけど(他誌で不定期連載している高校生を主人公にした作品なんて、まったく魅力的だと感じない)、「サプリ」だけは別格で面白い。

働く女性を描いた漫画といえば、他にすぐ思い浮かぶのが安野モヨ子の「働きマン」。
作者自身が働きマン過ぎて、体を壊して現在休業中のことだけど、この作品は男性誌(モーニング)に連載されているだけあって、どちらかというと男性的なパワフルさに満ちている。

と考えると、「サプリ」の最大の魅力である「しなやかさ」というのは、“女性的なパワフルさ”と言えよう。

今回の話では、

・仕事中毒で恋愛中毒、もういいと思いながら続けてしまう(柚木曜子)

・仕事に反省し恋愛にも反省しながら進むタイプ(藤井ミナミ)

・仕事も恋愛も重要でなく、いつでも捨ててしまえる(田中ミズホ)

と、3人3様の生き方を本人たちがはっきり明言していた。
仕事と恋愛のやり方は似る、というのが作者の持論らしい。
へぇ。

自分になぞらえてみる。
私は…?
中毒でもないし反省もしないし捨ててもしまえない。

ただ、仕事も恋愛も、
妥協はしないけど
肝心なところで詰めが甘い(笑)

というか、集中力はあるけど持続力がないので
だらだらと同じことが長く続くと飽きてしまう。

飽きる前までに、いかにその過程を完結させ、次の段階へステップアップさせられるか。
そことの時間勝負。

毎日深夜残業の今のプロジェクトも
来週でようやく終わるから、今ラストスパートをかけている。

多少手を抜いても他人からは分からないレベルの仕事はできるけど、
自分と、「分かる人には分かる」人のために、100%近くの能力を注ぎ込む。

100%なんて絶対無理で、それは奇跡のようなことなので、
やる気出して頑張って、せいぜい90%の納得しかできないけれど
100%出せなかった自分ではなく
100%を出そうとしなかった自分に対して後から無性に腹が立つので
とにかく100%を出そうと試みて90%の完成度で作り上げられたらいい。
それは素人には90%か100%かもわからない差だけど、
そこをこだわるのが、プロだから。

・・・なんて、分かる人にしか分からないこだわりなんて、
本当は必要がなくて、誰でもが分かるこだわりを見せることが
アマじゃなくプロの仕事だろう。

ってことも解ってはいるけど。
でも、「分かる人には分かる」仕事をしようとする私は、
「サプリ」方式で考えれば、
「分かる人には分かる」恋愛しかできないってこと?

なんかやだ(笑)

ああもう

2008年7月14日
不毛。

好きでいることをやめたい

救いの手

2008年7月13日
同情で 伸ばしたいと思うのは
いけないことだろうか

命を差し出すぐらいの覚悟と 愛が
なくては ならないだろうか

家族としての愛も
恋人としての愛も ないが

友情よりは上で
愛情よりは下の

そういう 同情なのだけど

そういう 救済なのだけど

そういう 手でも、

要りますか?

矜持

2008年7月9日
仕事におけるプライオリティは何か。
やりがい?楽しさ?人間関係?融通の利く環境?給料?
まぁ、人それぞれだ。
だけど、仕事をする人間であるならば、
矜持だけは持っていなければいけない。

…9時5時のOLじゃねぇんだよ。

と、ヨワッチョロイ同期に対して激しく思ったわけなのだけど(笑)

異動で私の部署に来たばかりの2つ年下のコの
教育係みたいな立場に今なっていて、
2週間前に彼女に振った仕事を、ほかに優先順位の高い仕事が
後から入ってきたりしているとはいえ、
本来早めに処理すべきの仕事を後回しにして
まったく進める気配がないので、
異動したててキツイ態度は取りたくないけれど、
同情の余地を与えずに催促したら、ようよう残業して仕上げてきた。

…すぐできるなら、初めからやれよ。

と、言いたいところだけど、まだしばらくは「優しい先輩」をキープ(笑)

そんな私は、ここずっと毎日終電帰宅。
朝9時半に出社して、夜0時過ぎに会社を出る。
ランチすら取れずに売店のもので済ましていたりするので、休憩時間もなし。
となると、大体1日14時間労働かーーーー

・・・・

プロジェクトの内容を考えると、単純に昨年の1.5倍。
しかし納期は同じ。
なので、残業しつつ、かつ効率を上げていくしか仕様がない。
だから、その後輩にもまだ時期的に余裕はあるけど
せかしてやらせたりしているわけ。

スケジューリングをしっかりして、
システマチックに進めていくこと。
つまり、管理能力というものだけど
これは、仕事そのものの能力と同等ぐらい重要な能力だと思う。

この能力に欠けた人たちが、私の部署には何と多いことか・・・
日々溜息、日々辟易。

仕事は、やれる人のところにどんどん来て、
やれない人のところにはやって来ない。

すなわち、仕事は、忙しい人はどんどん忙しくなり、
暇な人はただ暇なままである、という現実。

くだんの後輩に、
「桜沢さんって、ちゃんと外部スタッフが仕事をやりやすいように、
 いろいろ考えてスケジュールを進めているんですね!」と
感動したように言われたけど・・・・当たり前じゃん?

逆に、いかに自分のことしか考えていない人の多いことか。。。

ヨワッチョロイ同期は、仕事を途中で放棄してしまったので
今朝のオフィスは大騒動が勃発していた。
泣いて済む問題ではない。

ヤツラには、ちょっと矜持ってもんが足りない。

・・・・と思わず言葉遣いが悪くなってしまうけれど(苦笑)

とかなんとか言って、結局、
今の私の仕事への、この、とてつもない原動力は、

彼が先日素敵な仕事を納品してくれたから
それに見合うように手を加えて完成させなければ、
彼は私の仕事の出来あがりを見るのだから・・・と思って、
ただそれだけで、睡眠時間を削って仕事してるわけだけど。

このところ、ずっと毎日3時間ぐらいしか寝ていないので
外に出て太陽を浴びたりすると、時折立ちくらみがする。
エステかスパに行って、トリートメントしなきゃボロボロだ。

しかし、明日は会社の暑気払い(納涼会)という名の飲み会が某ホテルで。
あーーー 飲んでる暇あったら、仕事したい。てか寝たい。

体に負担かけてまで仕事に全精力を傾けているのは
今、仕事の調子がいいから。
やればやるほどすごくいいものが出来てくる。
ノッてるってことなんだろう。

結局、私は、仕事人間なんだな。

風船

2008年7月8日
人の強がりに 時には気づかない振りをしなければいけない

私は 常に 目ざとく見つけ 辛辣に攻撃しているらしい

それも無意識に。

空気が徐々に抜けた萎みかけの風船なら、

放っておいてもじき ぺちゃんこになる。
ゆっくりと、ゆっくりと。

パンパンに張った風船なら 針で突いた その瞬間に破裂する

どんな細い針でも、だ。

その「風船」を 「自信」という言葉に置き換えれば・・・・。

私は いかに残酷なことをしていたかと

後で気づく そのときは気づかない 無意識だから


幾つの風船を 割ったことか。

さよならStarman

2008年7月3日
さよならStarman

皆に愛されたStarman

誰からも好かれるなんてあり得ないことだと思っていたのに
偽善でもなく地でやってのける貴方に
私はただただ驚いた

一度は触れたけど もう二度と距離を縮めることなく終わった
自粛しなければ 醜い姿を曝け出しそうだったから
貴方がいなくなって 私はようやく安穏の日々

さよならStarman

二度と会うことのない人
そう思うと物狂おしい気持ちにもなる
事実 最後の日の夜には夢にまで見た
かつてのように隣に並んで微笑みあって
あぁ それすらも日々の果て

違う街でも たくさんの男女に愛されて ね
そして闘いに勝って 真のStarとなって輝いてください

さよならStarman
みんなのStarman
わたしのStarman

貴方にこの歌を贈る

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There’s a starman waiting in the sky
He’d like to come and meet us
But he thinks he’d blow our minds
There’s a starman waiting in the sky
He’s told us not to blow it
Cause he knows it’s all worthwhile
He told me:
Let the children lose it
Let the children use it
Let all the children boogie

(スターマンだ 彼が空で待っている
 私たちに会いに来たがってる
 けれど彼は私たちの心を狂わせてしまいそうだと思ってる
 スターマンだ 彼が空で待っている
 彼は私たちの心を吹き飛ばしはしないと言った
 心がとても大切なものだと知っていたから
 彼は言った
 「心を熱狂させ、心を使わせ、ブギーさせよう」)

(David Bowie『Starman』/1972年)
==================

恋愛に似たような

2008年6月27日
あまりに素敵な仕事を納品されたので
くらくらした

能書きたれる必要もない
物言わずただ視覚で呈示する

まるで2人でいた時間がパッケージされているようで
業務中に眺めながら思わずにやけた

どうしても話がしたくて
携帯を取り出し Callするか迷って

仕事に関することを無理矢理しぼりだして
知恵が閃いて ボタンを押した

軽く追加注文したということだけど(笑)
快く受けてくれて メールが来た
それに返信する
もちろん 極意は文尾に「〜ですか?」をつける疑問形
そうすれば 返事が帰ってくるんじゃないかと
仕事の振りして 恋愛的な技術を使ってみる

0時 そろそろ終電だから帰ろうとPCの電源を落とし
バッグから携帯を取り出すと 何と着信履歴
「…しまった」

きっと 追加の注文の納品に対する確認の電話だったんだろう
メールの受信時刻の10分前になっている
すぐにかけ直したけれど 出なかった
時間が時間なので
もう寝てるかもしれないし もしくは彼女と過ごしているかもしれないし

と ちょっと切なくなってみたり

こんな 些細な下心が仕事の活力を燃やす薪となる

恋愛に似たような でも恋でも愛でもない

ちなみに 追加の納品も とても素敵だった
自己顕示をしないクリエイターは 格好良い
ある程度のキャリアを積むと フリーなのに偉そうな態度を取る人も多い中で
彼のような 繊細なアーティスト肌の人が
女に事欠かないことも よく解る

同じ孤独

2008年6月20日
そういう生い立ちだと性格が歪むらしい。
「じゃぁ、私歪んでる?」と聞くと、
「歪んではないけど、擦れてるね」と言われた。

恋人との安定した生活で、煙草はもう3年やめていたけれど、
あの恋のせいで、復活して早1ヶ月。

煙草をやめるとき、「この恋人を裏切るとき、もしくは
別れたとき、また煙草を始めよう」と決めて、
その瞬間から、なんの依存もなくすっぱり止めていたというのに。

その人とは、生い立ちがまるで同じだった。

普段、自分の境遇について人に語ることはしない。
けれど、3日間ずっと一緒にいて、
その帰り道に初めて、突然彼はゆっくり
自分の生い立ちや、それによって育まれた孤独、
そして大人になって恋愛やら結婚やらの色々で
その孤独に追い討ちをかけることになった事件について
語りだした。
神経が鋭敏な者同士が恋愛をするということとは、
命を削るほど重いこと。

笑い話のように語るけれど、笑えない内容。
それを、笑いながら話す。

そんな姿を見て、私もポツリポツリと話してみた。
学生時代は、ネタとして面白おかしく軽く話したりもしたけど、
今となっては、今更誰にも―よほどでなければ話したくもないこと。
もう、当時の感情すら忘れつつあること。

自分の中で風化させ、生きているのに無関係の人として処理してきたし、これからもしていく人のことについて、話した。

語るエピソードを、「あぁ、俺も同じだった」と言われ、驚く。
似たような境遇の人が今までいなかったわけではないけれど、
これほど似ているなんて。

同じ、孤独。
思わず、シンクロしそうになったけれど、それはいけないこと。

私には恋人がいるし、彼にも恋人がいるし、
大体、私と彼には共通の知人が多すぎるし、
そもそも恋愛感情だってないのだ。

同じ傷を持った者同士で舐め合っても、傷は消えない。

歯がゆい

2008年6月10日
滅多にない偶然

こんなチャンス、またとない

そんな時に限って

別の好意に、邪魔される

間が悪いなぁ…

目と目だけが合って 何か言いたげな表情

離れていく後姿

ああ 背が高いから比例して足も長くて、だから一歩の幅も広くて こんなにずんずん差が開くのだなぁ

と、ぼんやり思いながら見つめ しかし口は別の好意のために動いている

歯がゆかった 夜
このままここに 未来と思いでを残したまま
帰れない帰せない
すぐそこにある 柔らかなぬくもり
本当は誰のものなの

(「Regret of the Day」〜album『globe』1996.3)

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懐かしくても 会えずに
どこにいるかも 理解らずに
偶然 街ですれ違っても
気付かずに お互いの道を目指している

(「Presious Memories」〜album『globe』1996.3)

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どうして人は争いや憎しみだったり
理解ってもらいたかったり プライドもったり
ライオンは今日 明日生きる為戦う
私は自分が愛した人を忘れよう

頑張ってた だけどもう戻れない
とりあえずの とりあえずの
ロマンスじゃなかった
だって友達より信じてた...

(「a temporary girl」〜album『FACES PLACES』1997.3)

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メンソールはIN MY BAG 奥に隠れてる
法律で許して くれてるものだし
100円玉2個と ほんのちょっとで
1時間ぐらいは It could be alright

馬鹿げてる 話には乗らない
車にも乗らない もし乗ったら馬鹿を見て

煙草の煙に乗って
もうちょっと休ませて
イライラしてるんだね なんて

(「Anytime smokin’ cigarette」〜album『FACES PLACES』1997.3)

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経験が邪魔をする
ほらあの人の横顔 抱きしめて

バス停で おしゃべりしている学生
明日の事は考えて もちろんいるけど
切実さは 比べようもない程明るい
あの人の胸には すぐ飛び込めない

鏡に映った あなたと2人
情けないようで たくましくもある
顔と顔寄せ合い なぐさめあったらそれぞれ
玄関のドアを1人で開けよう

(「FACE」〜album『FACES PLACES』1997.3)
会話が途切れると、彼は木陰に立ち止まり、
「キスしてもいいか」と言いました。

私が黙ったままでいるのを承諾と取ったのか、
彼は用心深くあたりを見回してから
私にキスをしました。

私は身を固くしたまま、濡れた地面を睨みつけていました。
その時、なぜだか私はひどく腹が立ったのです。
といって、口づけされたことに腹を立てていたのではありません。
そんなことではなかった。
そもそも、唇は奪われるためにあるとさえ思っていた私なのだから。

相変わらず私が黙り込んだままでいると、
彼は困った様子で「ごめん」と謝りました。

それまでにも何度か彼との間に距離を感じたことがあったけれど、
この時ほど彼を遠くに感じたことはありませんでした。

礼儀正しいお利口さん―私は心の中でそう呟きました。
けれども、彼は、そんな私の思いに気づくような人ではありませんでした。

(蓮見圭一『水曜の朝、午前三時』/2001年)

幸いなる窮地?

2008年5月23日
今日は、朝時間があったので、
メイクもファッションも、
自分でうっとりするよな100%装備(いつもは60% 笑)で出勤、
しかし、こんな日に限って、あの人は終日出張、
直行直帰で、姿を一目見ることもできずに、
完璧なマツゲも、お高いスカートも、
意味がなかった。ガッカリ。

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彼と、たまにメールを、しているのだけれど、
なぜか今回のやりとりは、すべて文末に絵文字がついてきた。
それも、かわいいやつ。

いつもは、文章だけなのに。
時には、返事もこずに読み流されたりもするのに。

一体、急に、どうしたのだろう。
こんなの、嬉しい、というより、むしろ、動揺。

返答に窮する。

まさか?

まさか?

まさか・・・ね。


窮地。それすら幸いな。

血汐

2008年5月22日
何も感じない顔をして、話す。

やればできるではないか。

生きた人間を、死んだ人間として扱ってきた。

日々ともに過ごす人間であるのに、1年も前から別れを告げ

ゆっくりと 現実の別れへの免疫を作り上げた。

それは、「他人」もしくは「過去」の間柄への準備。

最後の日
夜の帳の短い問答。

「…どうしてそんなことをした?」

憮然とした瞳。

「―言うまでもないこと」

対して、微笑み。

瞳と、瞳。

嗚呼。

何も感じないフリなんて。

死んでいると思っていたが、血の通う人間だった。

再度、問答。

「…どうしてそんなことを?」

傷ついた瞳。

そんなに理由を知りたいのならば。

「―この血汐のせい。」

対して、呟き。

その一言で意味を解した教養深い人は、不意にブレーキをかけて道端に寄せ、ハンドルから手を放し、この体を抱き寄せた。

1年かけた別れへの準備は、果たして無に帰した。



〜 やわはだの 熱き血汐を触れもみで さびしからずや 道を説く君 〜

ひもねす

2008年5月21日
気もそぞろで 仕事が手につかない
…と乙女ちっくに言いたいところだけど、私はもう学生じゃないので
社会人としての責任感を無理やり行使して、そこはそれ
きちんと仕事は進行させている。
で、思い出したのが、高校生の頃は
気もそぞろで 勉強が手につかない 授業中もうわの空
だなんて日常茶飯事で、友人に「モモコまた新しい恋?」
なんて苦笑されたものだったけれど、
今では、本分はきちんと発揮しているし、
友人に明かさないといても立ってもいられないなんてことはなく
自分ひとりの心に秘めて平気に過ごすことができるのだから
人間というものは進化するのだ。
経験は増えても自分の本質というものは変わらないと思っていたのに。
逆に、経験によって多少の感情を制御できるようになったということか。
しかし、ときめき感は変わらない。
この歳になって、ときめき、なんて言葉を使うとも思わなかった。
目が合うだけで、心臓が鞠のように跳ねる。
姿を思い浮かべるだけで、肋骨の間が締まる。
どうすればタイミングが合うのか、
そればかり考えて過ごしている。

10cmヒールのパンプスで出勤しても彼のほうがずっと頭が上にあるのが、単純に嬉しい。
人は内面、顔や身長なんて二の次、と思うようになった自分だったはずなのに、やっぱり外見って大事。
あと心配なのは、私服かな。スーツ姿しか知らないので、幻滅したらどうしよう。
そんなことを心配して、なんて能天気な恋なんだろう。
世界の不幸がかやの外。

rainy day, an umbrella

2008年5月19日
御託はもういい


触って


そんなふうに見るのなら

源氏の女君たち

2008年5月15日
同じ物語を読んでも、歳ごとに感想が変わるのは、当然だと
いえば当然だが、興味深い。

平安時代に書かれた、54帖にも及び世界最古の長篇小説といわれる紫式部の『源氏物語』が初めて書かれてから今年がちょうど千年だということで、「源氏物語千年紀」として昨年あたりから再出版を含めいろいろと関連イベントが催されている。
先日は、角川書店から明治時代に与謝野晶子が訳した源氏が文庫化されていたので、読んだ。昨年は瀬戸内寂聴の訳が文庫で出たので、それも読んだ。

光源氏という帝の息子であり美貌のスーパーヒーローの、若い時代の華やかな恋愛と、中年になってからの因果応報の苦悩を見事に描いたこの物語には、彼の数え切れないほど多くの女性が登場する。
昔から愛読しているが、以前は興味のなかった「空蝉」や、むしろ嫌いだった「六条御息所」に、やけに親近感を覚え、共感している自分に驚いた。

初めて源氏物語に触れたのが、小学生の頃。もちろん児童向けの簡単な文章で、深みを理解することなどできやしないが、気に入ったのは「紫の上」だった。というより、彼女の幼名「若紫」といったほうが正しい。なぜ彼女を気に入ったかというと、「生涯を通して、光源氏に一番愛された女性でした」と書いてあったからだ。
それに、雀の子を逃して泣いている少女「若紫」は、当時の私と同じ年代だったので、当然ながら親近感を覚えた。

それから次に源氏物語を読んだのは、大学生の頃。田辺聖子の訳と、橋本治の訳に触れた。当時、次から次へと恋を重ねていた時期だった私の最も気に入ったのは、「朧月夜」だった。「朧月夜」は、情熱を持って奔放な恋愛をする女性。光源氏は父親の政敵であるにも関わらず、いや障害があるからこそ炎は燃え上がった。二人の密通は世に知れるところとなり、光源氏は官職を奪われ都落ちし、「朧月夜」は帝の后として宮廷に入るはずが、傷物になってしまったので、女官のひとりとして仕えるしかなくなった。世間から見れば、二人は恋で身を滅ぼした。

そして、今回、私が惹かれたのは、先述の通り、「空蝉」と「六条御息所」だった。「空蝉」は、他の華やかな美女たちに比べ、陰の薄い地味な女性である。「六条御息所」は、権高で嫉妬深い女性である。地方官の妻である中流階級の「空蝉」と、夭逝した皇太子の后で一流の身分の「六条御息所」。まったく違う立場の二人の共通点は、教養深く、聡明な女性だったことだ。しかし、前者はそれを慎み深く賢く発揮して光源氏の心を長く掴んだのに対し、後者はそれを醜く哀れに発揮して、光源氏に疎まれる結果となった。これはとても面白い。
知的であっても、その知識が宿る人の性格によって、状況はまるで変わる。
他に、身分が高く美しく教養もあるけれど、それゆえにプライドが高く、最後まで素直になれずに死んでしまった正妻「葵の上」などにも惹かれた。この人のことも、昔はどちらかというと理解できなくて好きではなかったのだが。

逆に、小学生から高校生の間までずっと一番気に入っていた「紫の上」に、あまり魅力を感じなくなった。「源氏に最も愛されていた」というのも、よく読めば違う。正妻のような立場で、天真爛漫に源氏からの愛を最期まで一身に受け続けたのではなかった。正式な結婚をしていないので、正妻のように扱われながら実は何者でもないというコンプレックス、ライバルは源氏の子を産んだのに自分は産めない哀しみと嫉妬、中年になって今さら源氏に歳若い女が正妻として嫁いできて立場を奪われた苦しみ、晩年は病気がちで、死を目前にして源氏の我侭で望みの仏道にも入れず亡くなってしまう。…大体、本当に一番愛された女性だったのか?彼女は、結局彼の想い通じなかった人の身替りに過ぎなかった。

とにかく、他に書けばキリがないが、千年も前に書かれた物語とは思えないほど、よくできている。古びず、その心は今に通じる。

「ジュディ」

2008年5月10日
「ジュディ」
受話器を持つ左手首が、か細く震える。

厭な体験が、頭から消えない。

厭な出来事を抹消する、呪文を教えて。



夜中にヘッドフォンを当てて聴く昔の音楽は、
刹那の恋愛を次々繰り返しながら
本心は遠くに住む男友達に
明かせない恋心を秘めて苦しんでいた当時を、
強烈に思い起こさせて
胸が焼けそう。


**********
「現実の世界じゃオレの望んでる花びらは汚れてる
 感情が何回か抜けてしまった」

「愛ではない 愛ではない そんなもんは効かねえ
 何でもない 何でもない 何でもない 続けて」

「醜いオレの事 やさしく受け入れる
 心の中まで入って行けるよ
 真っ白に信じてる」

「I’LL NEVER DIE I NEVER LIE I’M NEVER SLY
 JUDIE YEAH…」

(吉井和哉「ジュディ」2000年)
**********



翼があれば、今すぐ飛んでいきたい。
少女浪漫ではない。切実なのだ。
現実世界の鎖は、重すぎる。
もっと軽い人生はないのか。
貴方は今何処で何をしているの?

ありがとう

2008年4月26日
そんなことを話してくれて、ありがとう。

胸が痛んだ。

目頭をぬぐうのを、見ないふりする。

苦しいのね。

でも、私の胸が痛んだ分、あなたの痛み、ほんの少し軽くなったはずよ。

2年付き合って、初めて見せてくれた素顔、

きっと、ほかの人はまだ知らないよね。

そんなことを喜んでいる私は、とんでもない女だ。

話してくれて、ありがとう。

ありがとう。

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