甘美な夢

2003年2月26日
甘美な夢

貴方より私が先に死んだら
貴方の守護霊となって
貴方の人生を守りましょう
貴方の周囲を優しくたゆたいます

甘美な夢

私が貴方に先立たれても
私の貴方への愛がある限り
私は貴方と暮らし続けることができましょう
私は貴方の残された魂と共に生きます

それは甘美な夢・・・
それは究極の理想・・

しかしこれは脅迫でも要求でもありません
もし貴方がそれを望まないのなら
私は生前も死後も永久に孤独に愛を浮遊させましょう
それもまた愛の形です

恍惚たる愛を与えてくれた貴方に
私の魂全てを捧げたいだけです
形状が変わっても中身が変わることはありません

甘美な夢を見続けています

拝啓 策略家 様

2003年2月25日
ネオンの光る街と甘い誘惑
ジャズが実しやかに流れている
「マティーニを。」
イイ女ぶる酒場で生まれる恋愛ゲーム
女なら一つ 花を咲かせましょう

刹那に溺れてああ美しい
大輪の人工花たちもすでに走馬燈
目前を霞んで流れてゆく

賞味期限は切れて時節は移り
狂乱の夜にうつつを抜かした時期はすでに遺物
周囲の者共は既に新しい途を決定し
残された寿命を全うすべく感傷に耽っている

生き急ぐ様子は非常に愚かしく映る
未だ一人で右往左往して焦る如月
時計だけが非情に刻々と駆ける
「カレンダーをめくりたくないのに!」
秒針が進むたびに恐怖が誇大して迫る

強がりは虚構に過ぎず
10本の赤い爪が剥げていく
真実はただ傍らに横たわっていて
突如意味もなく発作を起こすだけ

ああ この堕落ぶりよ
栄光など過去のもので
転落の人生には最早
勲章など一つも無い

恐くはない いや 怖い
矛盾に眠れぬ夜が脅かす
煙草と酒に耽り闇に堕ちていく
可笑しい程 崩壊は簡単
再生はすでに不可能
技術が 金が 気力が足らぬ

「我唯 最高級のケダモノ」
後先知らぬ 形振り構わず
未だに刹那の快楽を追う懐古主義者
これはただの逃避と判っている

過去は何故 未来の邪魔をする
「お前が悪いんだ。お前のせいだ。全て。」
もはや意識は錯乱している
その笑みが疎ましい
だから消し去りたい

消しゴムと修正液が足らない
甘美な恍惚に包まれて唯
脳内幻想に漂いながら果てたいだけなのに…
「さあ抱いて」

歓声に包まれて夢の空間
現実逃避は更に現実を突き付けた
水族館のイルカがとても哀れで涙を誘った
束縛の無い大海で泳ぎたいだろうに
理想郷はいつでも強制的に奪われる
人とて同様

「こうして終焉のはざまで単に苦悩している事態は滑稽です。
しかしこの過程がまた重要に思われるのです。」
それもまた綺麗事

憑き物でもいるのではないか
どうして皆そんなに切羽詰って取り上げる
上気した頬は ただ矛盾を呈して
下腹部に言い知れぬ鈍痛を催させるだけ
そんなもの 気持ち良くもない

目が眩んで 無様な道程が見えるが
それでも宜しいと申されるのなら
どうぞ 貰い受けて戴きたい
「いいえ 愛しています。」

口だけが一丁前
「もう 貴方しかいないのです。お願いよ。」
こうしてまた媚は塗り重ねられる
同情もまた 強靭なる武器
私も一人の弱い女なのです
悟ってくださいませ

計算ずくの弱音と おぼつかぬ強気

貴方に見破れるとは思いません

かしこ

merry-go-round

2003年2月23日
 漆黒の夜に浮かび上がる
 煌びやかな光の渦と
 壮麗なワルツに包まれて
 くるくる 回転に身を委ねたい

 豪華に装われた白い馬に貴方が跨って
 綺麗に飾られた馬車に私が乗り込んで

 そう
 さしずめ 貴方が王子様 私は 王女様

 夢の舞踏会へ参るのです

 人工の馬がゆっくり止まり
 スピーカー音楽が消えゆき
 一瞬の夢から覚める時がいずれ来ましょう

 しかし私は
 その一瞬の色に染まりたいのです

 「わたくしと踊ってくださいな」

 手を取り   見詰め合い

 照れ笑いも交わしながら

 浮世の 汚き欲望や 儚き執着
 そして抗えないあらゆる暴力は
 この時だけ見捨て

 清らで 幸福のみに包まれた
 皆に祝福され愛されている心と体

 …のつもりで

 甘い香にまみれて 演じあいましょう

 御伽噺の中の

 王子様と王女様になりきって

 この幻の国にいる間は
 それも許されましょう

 架空の王宮   遊園地
 架空のパレード メリーゴーランド
 架空の高貴   貴方と私

ワダツミ

2003年2月18日
「海って 空が広くていいね」

無意識に

作為なく

自然と出た言葉に

自分で驚く

あたしには まだ

守るべき 幼子のごとき純粋な感情が

残っていたらしい。

******

「月の海はきっと国によって違うんだろうね」

咄嗟に出した言葉は

クレーターという語句を白痴させ

雅やかな語句 “月の海”

自分で驚く

あたしには まだ

守るべき 雅人のごとき典雅な語彙が

残っていたらしい。

******

馥郁と薫る梅が見たい 如月の夜

海辺に咲く梅はあるの?

もしあるなら

潮の香と混ざってどんなに高貴な香を漂わすことでしょう

ワダツミ 教えて

あなた

月が見ている   海が聞こえる・・・

「幸せ」は

2003年2月17日
「幸せ」は

条件や環境とは無縁

もちろん金銭とも無縁

客観ではなく主観

永続ではなく瞬間

そう 一瞬の感情

その中に 幸せはある

例えば

散歩中・近所の小さな川の水面に映った緋色の夕焼けが・鱗状にざわめき揺れてキラキラ輝く・その様を美しいと感嘆する。

例えば

夜の帰路・見上げた夜空・住宅街に狭められたギザギザの闇の中に・ぽっかり浮かんだ・不吉なほどに紅く巨大な朧月・その様に凄みを感じて溜息を吐く。

それが 「幸せ」

豊かなる感情のみに
一呼吸の間よりも短く
ハッと息を呑む瞬間に
与えらるるもの

巻き戻し不可能
繰り返し不可能

「幸せ」はただ 一瞬の事故

―だからこそ 貴重

何人にも 売ることができず
何人にも 買うことができず

「幸せ」はただ 本人だけのもの

―だからこそ 希少

留めることのできない
形持つことのない
使い捨てで垂れ流しの
悲しいほど一過性の
失い また得る
人生における 我が宝

それが「幸せ」

レモン

2003年2月14日
唯物論と観念論
これって 永遠に相容れないツガイ.

言語や関係の外在性

それを あたしは求めてる.

とにかく

「愛してる」って 言って 抱きしめて欲しい

マテアリスト.

それらの思惟による内面化

それも あたしは求めてる.

とにかく

「愛してる」って 思って 想い尽くして欲しい

アイディアリスト.

あたしの中の 矛盾

でもね

唯物論者であろうと
観念論者であろうと

互いを打破することはできなくて.

だって、人は主観から抜け出すことはできないから.

両者自体が対照的で矛盾したイズムだから
融和して共存することもできない
ただ あたしの中で相反するだけ.

あなたを
心の中で想うこと

あなたへの愛を
言葉や行動で示すこと

あなたは どっちが欲しいの?

あたしは どっちが欲しいの?

「両方が正である」
こんな仮説 おかしい?

真実は ただひとつ

あなたに愛されたい.

欲望1つ

コロンと 目の前に転がっている

1果のレモンのように.

RAINBOW

2003年2月13日
哀しみの海に
救いの月を照らし

明けた朝に
輝く虹を架けて

明日会えたらね
それだけで・・・
あたしは 至上最強の ペシミスト

あなたは 史上最高の オプティミスト

そう思っていたけど

2時間の長電話で 逆転

実際 あなたはペシミスティックで
案外 あたしはオプティミスティック

これって アンビバレンスね

2年経って ようやく弱音を吐いてくれた

あたしにしかすがれない 濡れた小鳥

それは 地軸を差し替えたかのごとく

トラジック。

まどろみ 2

2003年2月11日
あなたの不在を
わたしは いつでも想う

わたしの不在を
あなたは 忘れて過ごす

会っていなくても
あなたが全てのわたし

あなたは わたしと
会っているときが全てなのね

離れていている物質的事実は同じでも
互いの精神的状況は相違を呈し

それはまるで
やじろべぇの両端
もしくは
棒磁石のS極とN極

つまり
対照的だからこそ
釣り合っていられる

決して同一化して
溶け合うことのできないわたし達

嗚呼 皮肉な事実
まどろみ続けるわたしと
熟睡可能なあなた

交われないからこそ
平行したまま
時間軸を共に進んでいくのね

そう
それが わたし達が長く続いている理由。

まどろみ

2003年2月10日
一人暮らしのあなた と

一人暮らしの あたし

お互い
一人暮らしの気楽さを堪能してる

あなた と 二人暮らししたいあたし と
一人暮らしの自由を壊したくない あなた

普段 睡眠中は携帯が鳴っても
目の覚めないあなたは

あたしと二人で抱き合って眠る夜

あたしが眠れずにベッドから起きあがって
電気をつけて音楽をかけても
そのまま寝息を立て続ける

そんなあなた と

普段 睡眠中は携帯が鳴っても
目が覚めないあたしは

あなたと二人で抱き合って眠る夜

あなたが夜中にトイレに立ったり
朝 あたしより先に目覚めて
あたしに少しでもイタズラすれば
すぐに目が覚めてしまう

つまり 全ては そういうことね

普段 一人で寝る生活でも
二人で寝ても相手が気にならないあなた と

普段 一人で寝る生活だから
二人で寝ると相手が気になってしまう あたし

二人でいても変わらないあなた と
二人でいると変わってしまう あたし

睡眠に限らず 全てがそうなのよ。

あたしは あなたを失ったら
きっと 心が壊れると思うけれど

あなたは あたしを失っても
きっと 何も変わらないのよ

これはただの勘違いじゃないわ。

だったら、あなたは なぜ
他の娘ではなく
あたしを求めるの?
他の娘とでも 変わらず熟睡できるでしょうに。

それだけが 唯一 あなたのわからない処よ。

熟睡したいのに まどろみ続ける
あなたとの年月。

ぐっすりと 深く深く眠りに落ちることができるのは
一体 いつ。

コピー&ペースト

2003年2月9日
まだ 女 じゃなかった頃。

ただの女子だった頃。

同じ学習塾だった貴方を、目で追っていた頃。

それから10年近く経った ある初春
貴方とよく似た人に会い 一夜を過ごしました。

夕暮れの海で 戯れる男たち
無邪気で 可愛らしい。

微笑ましい風景の中で 無意識に
私は彼に貴方を重ね合わせていました。

夕日に照らされたHONDAのAPEは
もしかして 貴方も今頃こんなふうに
どこまでも続く真っ直ぐの道を駆けているのかしら
と 錯覚させました。

無邪気で残酷な 一男子だった貴方も
今頃は 魅力的で素敵な 男 になっているのかしら

そんなふうに

もうずっと記憶の彼方に佇んでいた貴方を
ふっと 思い出しました。

また次思い起こす日まで

バイバイ

少女だった私と 少年だった貴方。
『君はハートのクィーンだよ』

 ぽっけに石鹸一個入れ
 軽石手拭頚に下げ
 君のほそい影踏めば
 おふろあがりのさむい径
 街ではどかどかチンドン屋
 年末特別大バーゲン
 僕らのお城は長屋裏

 石炭ストーブない夜は
 ラヂオで大雪注意報
 君と僕とで静かに聴けば
 まるで大英帝国の

 僕は勲功し王子様
 君は麗わし王女様

 君のおつとめ喫茶店
 今夜も帰りは終電車
 駅までおむかえ雪の径
 マフラと駆けっこ白い雪
 ジングルジャングル街あかり
 繭玉お飾り歳の市
 僕らのお城も除夜の鐘

 窓べで粉雪おにごっこ
 僕らのお雑煮たべたそう
 よい年来てねとそっと祈れば
 そうさ(明日は)大英帝国の

 僕は勲功し王子様
 君は麗わし王女様

(作詞作曲・あがた森魚/1972)

あたしは、70年代の学生エレジーがとても好き。

70年代前半のいわゆる“四畳半フォーク”の代表的アーティストといえばかぐや姫で、73年の『神田川』が有名だけど、あたしは、その1年前に出たあがた森魚の『君はハートのクィーンだよ』のほうが好み。

というより、ある種、理想かもしれない。

あたしが生まれるよりもずっとずっと昔の物語。
風呂無し木造アパートでの同棲。
そこに集う仲間たち。
フォーク・ギターをかき鳴らし
身近な情緒 切なさ、悲しみ、幸せ そして
将来の夢や理想や恋を輪になって熱く歌い上げる…

フォーク・ギターが醸す、連帯と陶酔と憧憬。

それは、30年経った現在でも尚、色褪せない甘美な魅力を放ち、あたしを惹きつける。

今の学生は、風呂有り(トイレ別)8畳鉄筋マンション(ベランダ付)に暮らすのが当たり前。
こういう、清貧はとても美しく羨ましく映る。

実際に、
“石炭ストーブない夜はラヂオで大雪注意報”じゃ
寒がりのあたしにはとても無理そうだけれど、

例え貧乏でも、
夢を持って、夢を追って、
好きな人と共に語らい 暮らす。

究極の愛の形だわ。

例えオトナたちから、「社会を知らぬ若造たちのオママゴト」だと嘲られたとしても。

あなたとふたり 貧乏ぐらし
お金は無いけど 愛に溢れてる
夢のようね

そう
あたしは、長屋裏の城の
ハートのクィーンになりたいの

貴方 あたしの
クローバーのキングになってくれる?

・・・エアコンの効いた広い部屋じゃわからない。

・・・車やバイクばかりじゃなくてたまには歩こうよ。

「あなた 現代に麻痺してるわよ?」

そう言ったら 貴方は笑うかしら。

「なんだモモコ急に。
 またいつもの気まぐれか?」って。

ううん。
今回ばかりは気まぐれじゃないの。
もう 高校生の頃からず―っと 憧れてる形。

理想は あなたと二人 夢を追って貧乏ぐらし。

恋の燃焼活動

2003年2月6日
あの年の秋
出会いはありきたりで
喧騒の居酒屋
寡黙で照れ笑い
テーブル越しに平行
次の店に移る頃には 心奪われた

そして 私の恋心を拒否した残酷な貴方

***

もう一度秋が来てその次の春
再会はなしくずしで
熱狂の小部屋
曖昧な言葉達
テーブル越しに直角
次の部屋に移る頃には 心悶々と再燃

だけど 私の心には既に他の人が占領済み

***

その春の次にやってきた秋
再会はろくでもなくて
静寂の洋食屋
無言の盗み見
テーブル越しにねじれの関係
次の店に移ることもなく 心急速冷凍

そうね 私の心は漸く2年間の動悸を沈静

***
***

一つの恋が

突然ヒトメボレという
火種を投じられ
激しく燃えあがるも

継続的にキョヒという
水をかけられ
少しずつ衰えゆき

気まぐれなエゴという
油を再び注がれ
大切な物まで燃やす危機に陥りながら

やがてシツボウという
消火器で自らその火を完全に消しゆく

その過程

残るは 黒いススのみ。
ススははらはらと
どこかへ吹き飛んだ。
あたしの手には
何も残らない。

ウタダヒカルも言ってたわね。
「恋には賞味期限があるのよ。」

…同じね。

なぜ
一番燃えあがっている時に飛び込まなかったの?
消えつつある火をうまくくべらせる術も持たないくせに。

躊躇は致命的
臆病なあなた
後悔しても遅い
もう永遠に手に入らない

せっかく あたしの炎は美しいのに―

鈴木いづみが言ってたけど
「ハートに火をつけて! だれが消す?」

…自分よ。
今日 夢に出てきた あなた

17の頃のままだった。

夢の内容は 覚えていない。

覚えているのは

ただ 中学や高校のクラスメイトたちが
かわるがわる入り乱れいたこと

そして

あなたがいたこと だけ。

あたしは 今のあなたを 知らない。

3年ぐらい前に、
大学を休学して
バイトで荒稼ぎしたカネを握って
世界流浪の旅に突然出かけた、
という突飛な噂を聞いたきり・・・

「手始めに オーストラリアへ行くらしいよ」

それが 最後のあなた。

成人式で再会することもなかった。

17歳当時 あたしの気持ちに気付いてるくせして
気付かないふりした あなた

今頃 どこで 何をしていますか?

ビートルズを聴くたびに
あなたを思い出す。

ビートルズのコピーバンドを組んでいたあなた。
教室の清掃時間には ビートルズを流していたあなた。

今日の夢には ビートルズは流れていなかったわ。

できれば
10年後ぐらいに
麻布のバーあたりで
ビートルズを聴きながら
グラス交わし
互いの成功談を語り合いたいわね。

聞きたいわ。
あなたの 大きな夢の 成就計画の途中経過を。

聞きたいわ。
あたたの 人生という 流浪の旅の途中経過を。

蜂蜜のような君

2003年2月3日
午前5時 君はそっと あたしの家を去った。

残ったのは、

君が忘れていったプレステのソフトと

君と聴いたSpitzの『ハチミツ』と

君に2日間愛された あたし。

“一人空しくビスケットの しけってる日々を経て
 出会った君が初めての 心さらけ出せる”

から始まる歌たちを、一人になった部屋で流す。

あまりに当時の空気を再現するから、
あたしはいつでも泣きそうになる。

当時15歳だったあたしを虜にした音楽。

ジャケット・デザイン・写真・詞・アレンジ・歌・プレイ。
すべてがパーフェクトなアルバム、『ハチミツ』。
今でも、Spitzの最高傑作はこれだと思う。

作品のクオリティだけじゃなくて、そこには、あたしの当時のココロが詰まっているから。

今ではこういう、いわゆるギターポップは聴かなくなってしまったけれど、だからこそいつまでも、当時聴いた耳触りの良いギターポップ達は、色褪せることなくかつての色彩を放ち続ける。

「昔の懐かしい歌が聴きたい」と言って
君はあたしのCDラックを漁り、
奥のほうからこのアルバムを取り出してきた。

君とあたし。
お互い、高校時代は存在を知りもしなかった。

『ハチミツ』を一緒に聴いたけれど、
その中に詰まる想いはそれぞれ違う。
だけど、想いが詰まっている事自体は一緒。

同時に聴くメロディーの中で あたしたちは
それぞれ違う方向を眺めた。懐かしく。
あたしの 君の 過ぎ去った場所を。

数年経って、久しぶりに聴くときが来たら、
君とあたしが一緒にこのCDを聴いたということが懐かしく思い出されるだろう。

その時、一緒に聴く相手がもし君だったら、ようやく君とあたしは、同じ場所を眺めることができるね。

“だって 信じることは間抜けなゲームと
 何度言い聞かせたか 迷いの中で
 ただ 重い扉 押し続けてた”
            (あじさい通り)

―今、ココロに痛く刺さるフレーズ。
彼らに夢中になっていた頃は、まだその歌詞の本質を解することができず、ただその流れる綺麗なメロディーと、文学的でキュートな言葉遣いという、表面的な事項にのみ惹かれていた。

ポップな言葉とメロディーの裏に隠された
痛いまでの 切ない想いたちを
あたしは その後 何年も経ってからようやく知る。

“だって 信じることは間抜けなゲーム”

それを本質的に実感してしまった時が来て、

そして、

もうそんな事を思わなくてもいい時もまた
時節を幾らか繰り返した後にやってきた。

“素敵な恋人 ハチミツ溶かしてゆく”

―固まってたハチミツを溶かしてゆくのは
          紛れもなく 君

そしてそれは

あたしの胸の中にゆっくりと広がって

甘く 素敵な その黄金の 流動体は

あたしの指先まで浸透して 輝き出す

それは 君。

蜂蜜のような君。

午前6時 あたしはそっと 微笑んだ。

シーツの隙間

2003年2月2日
血湧かせ

唇交わし

腕絡めあい

快楽の雨のあと

君は果て

残るは 濡れたシーツのみ。

血は鎮まり

唇躱し

腕抱きよせ

感情の波のもと

私は笑み

変るは 乾いたシーツのみ。

anniversary.

2003年2月1日
「無念ながらも長らへて、さて只今の仕合わせなり。」

と出世景清は云ったが。

『幸福』

『巡り合い』

『ことの次第』

―そう、私たちの“仕合わせ”。

愛の魂の炎が
燃えあがったり
消え失せそうになったり
火加減は変化せすれど
長らえたからこその只今の幸せ。

「玉の緒よ 絶えなば絶えね 長らへば

            忍ぶることの 弱りもぞする」

私が11歳の時から常に頭に在って離れない唄。

忍ぶる時期はすでに終わり
今では
時に度が過ぎるほどの堂々たる幸福
ありがとう

不安はあれど 今
私の隣で寝息を立てるいとしい貴方
これからも よろしく

Today is an anniversary day.
This is a love song for you.
I wish singing to you that forever.
Yes, forever...

One night-Lover

2003年1月30日
あなたは恋人

そう

会ってる間だけのね。

普段はお互い 違う人を見ている。

なのに、数ヶ月ぶりに気まぐれに連絡してみたりして

突然の誘いにも応じて

でも少し緊張したそぶりで

レストランの席について

いかにも友人を装って

あなたの家へ行く頃には

あたしたちは恋人同士になっているのね。

でも 朝が来れば

魔法が解けたみたいに

あなたとあたしは元通り。

一緒に駅まで歩いていって

「こんな日にモモコと一緒に行けるなんて、俺、なんかいいよな」

そうね、今日はあなたの第二の人生スタートの日だったわね。

目的駅に着いて あたしたちは別れる

「じゃあな」「バイバイ」

小刻みに振った掌の向こう
あなたへの距離

それから桜は散り

眩しい陽射しも過ぎ

紅葉も消え

雪が降ったりもして

―お元気ですか?

あたしたちまたOne night-Loverになるときが

くるのかしら?

それとも

もう二度とないのかしら?

近いうちに会う気がするし

もう一生会うことがない気もするわ。

お互い どんな恋人がいるかなんて知らない
ただ 会っている間だけのお互いが 全て
他は知ろうともしない

そんな関係

―もうすぐ あの日が来るね

あなたの記念すべき日の始まりを共に過ごした朝が・・・

ネイル

2003年1月29日
綺麗に伸ばして整えた爪に

丁寧に深紅のネイルを塗っていく

貴方の歯で剥がされる事を想像しながら。

ムーディーなジャズバー

ドアが開き響くベル音にその来訪を知る。

ワイングラスを傾け、微笑み合う。

貴方が私を見詰め、
私も貴方を見詰め、

その絡まる視線は、その後の情事をすでに予感させる。

ロックのバーボンが氷だけになって

そのグラスを
畳んだオシボリではなくコースターの上に置いた時が
合図

細いヒールの音は

店の階段から すでに車通りの少ない繁華街の舗道へと移る

そして 貴方の部屋の玄関でそれは止まる

塗り立ての端麗なネイルを

貴方が上目遣いで噛む

きっと

沸き立った体内の血は このネイルより紅い。

変幻自在

2003年1月28日
ネットでは

誰もが

自分の思う通りの自分に成れる。

コントロール自在。

素敵ね。

あたしは、誰に成ろう?

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